●なぜ、父さんたちはセミリタイアしなかったのか?
セミリタイアというと、定年前に退職し、その後、組織に縛られずに生きていくといったイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
こういった「自由」なイメージのある、セミリタイアですが、
日本においては、セミリタイアといった考え方はあまり広がっていませんでした。
なぜでしょうか?
それは、以前は、企業が終身雇用、退職金制度で従業員を囲い込んでいたから。
高度経済成長期からバブル崩壊位まで、日本のサラリーマン世帯は、ライフプランについてそれほど考える必要はありませんでした。
終身雇用により、就職すると退職までその企業で勤めることができました。
退職と同時に退職金が支給され、その後、年金も支給が開始。
同じ企業に勤める人たちは、ほぼ同じようなライフプランの上を進んでいきました。
どの業界に勤めてもそれほど生涯賃金で差はなかったのでしょう。
そのため、1億総中流社会と呼ばれるようになりました。
就職から、老後にいたるまで、皆が同様に進めるプランを、企業や国が用意してくるといった
「奇跡のシステム」でした。
若いころは安い給料で、働き、年功序列賃金により、年を経るにしたがって賃金が上昇していく。
そして、無事、定年まで勤めあげることによって満期金(退職金)がもらえます。
つまり、
1度入ると最後まで抜け出すことが難しいシステムであったともいえます。
若いころには、不当に安い(?)賃金で働き、勤続年数が増えていくと賃金が上昇していくため、途中で抜けることは、
「損」
をすることになるのです。
そういったシステムの中では、
セミリタイアをすることは金銭的・時間的に損をすることだったのです。
そのためセミリタイアといった考え方が広がらなかった。
お父さんたちにとってはセミリタイアは損な選択だったのです。
セミリタイアを考える必要がなかったのは、
リタイアまで面倒をみてくれる仕組みがあったからです。